第53回現代のラテンアメリカ「メキシコ、ベラクルスにおける民衆音楽運動—伝統、継承、革新」
INFORMATION
メキシコ国立ベラクルス大学に所属する伝統音楽楽団トレンウイカニ(Tlen Huicani)の創立者であるアルベルト?デラロサ氏と同楽団メンバーであるルベン?メルガレホ?ウエスカ氏を招き、メキシコ?ベラクルス州における伝統音楽が、現代ポピュラー音楽として発展した歴史を辿る。ベラクルスの伝統音楽であるソン?ハローチョはマリアッチとならんで、メキシコを代表する民謡スタイルと言われる。その代表的な楽曲である「ラバンバ」は、世界でもっとも有名なラテンアメリカのメロディとなっている。
第1部講演では、ベラクルス民謡がメキシコ全国に、ひいては全世界に広まる過程を20世紀初頭から21世紀まで辿る。そのなかでも、デラロサ氏が率いるトレンウイカニは1973年の創立以来、ソン?ハローチョの舞台芸術化に貢献した最重要グループのひとつといわれる。大学に拠点を置く民衆音楽のキュレーションならびに公演普及活動のみならず、現在では世界でも珍しい大学教育機関における民衆音楽専修課程の実践など、特色ある活動を行っている。第2部ではトレンウイカニによる演奏実演をお聴きいただく。
講演講師?演奏実演
メキシコ国立ベラクルス大学教授、伝統音楽楽団トレンウイカニ
アルベルト?デラロサ 氏
1947年生まれ。世界60カ国以上で活動する、同大学所属伝統音楽楽団トレンウイカニの創立者であり監督。ベラクルス大学所属民族バレエ団の音楽監督を務め、ベラクルス大学とベラクルス教員養成機関で民族音楽グループを結成した。また、主な活動としては民族音楽?楽器の教育のほか、国際アルパ?フェスティバル主催などがある。
メキシコ国立ベラクルス大学教授、伝統音楽楽団トレンウイカニ
ルベン?メルガレホ?ウエスカ 氏
1969年生まれ。ベラクルス州内の高等教育機関で芸術教育学や教育学を修めた。バイオリン、ギターなど西欧楽器から、レキント、ハラナ、ハープなどのメキシコ伝統楽器まで、弦楽器全般を演奏する。西欧クラシック音楽指導者として、カンクン交響楽団の設立に参加。メキシコ伝統音楽の分野では、トレンウイカニのメンバーとして、レキント、ギター、ハラナなどを担当。西欧クラシック音楽、メキシコ伝統音楽の両分野で欧米各国を歴訪している。
演奏実演
メキシコ国立ベラクルス大学教授、伝統音楽楽団トレンウイカニ
ダビッ?メルガレホ?ウエスカ 氏
1968年生まれ。メキシコ国立ベラクルス大学に所属する伝統音楽楽団トレンウイカニのメンバーであり同大学教授。オースベル(Ausubel)専門教育機関で教育博士号取得、基礎教育教師のための芸術教授法ディプロマ取得。7歳からメキシコ音楽の演奏をはじめ、メキシコ、米国、中南米、ヨーロッパ、マレーシア、インド、日本など世界各国で公演を行う民族音楽演奏家。幼稚園教諭やベラクルス自治大学での音楽?歴史の講師経験あり。
メキシコ国立ベラクルス大学教授、伝統音楽楽団トレンウイカニ
ラウル?モンヘ?アラルコン 氏
1981年生まれ。メキシコ国立ベラクルス大学に所属する伝統音楽楽団トレンウイカニのメンバーであり同大学教授。ハラパ大学で博士(科学?文化?技術)号取得。ラ?カサ?デル?アルパ文化センターの創設者兼監督。ソン?ラ?セミージャこども青少年合唱団監督。ベラクルスの伝統音楽の作曲家、編曲家として活躍し、国際アルパ?フェスティバルの主催もしている。また、シコチマルコ(Xicochimalco)アルパ学校長兼講師やハローチョ?フォーク合唱団講師経験あり。
メキシコ?ハープ奏者
今村 夏海(いまむら なつみ) 氏
1989年生まれ。神戸甲陽音楽専門学校卒。20歳より日本人で唯一のプロのメキシカン?アルパ奏者として活動を開始。ベラクルス大学主催のコンサートや、ベラクルス州主催のフェスティバルへたびたび出演。2014年からコロンビア、メキシコで開催されている国際アルパ?フェスティバルに招聘されはじめ、様々な国での演奏を経験している。
司会?通訳
東京大学教授、東京大学大学院総合文化研究科教授、本学ラテンアメリカ講座講師
石橋 純(いしばし じゅん) 氏
専門は文化人類学、ラテンアメリカ文化研究。ラ米の民衆文化、民衆音楽、民族運動、人種主義と人種差別を研究。主著『熱帯の祭りと宴:カリブ海域音楽紀行』つげ書房新社、『太鼓歌に耳をかせ』松籟社、共著『中南米の音楽』。